会長メッセージ

日本会計教育学会会長 向 伊知郎

日本会計教育学会の第4代の会長に就任することになりました向伊知郎でございます。よろしくお願い申し上げます。

日本会計教育学会(JAAER)は、2009年に「会計教育の開発・改善・充実を目的とし、会計教育の研究・普及・提言を行うとともに、会計教育に携わる者の交流を図ること」を目的として設立された学会です。

国際会計教育研究学会(IAAER)をはじめとして、世界的に会計教育に関する研究が注目される中、日本では会計教育について研究する学会が存在していなかったことを受けて、初代藤永弘会長のもと、学会は設立されました。その後、柴健次元会長のもと、学会のレゾンデートルの明確化が図られて、学会誌の発行、学会賞の授与、スタディグループの設置といった学会活動が充実されてきました。松本敏史前会長のときには、新型コロナウィルス感染症が拡大して、対面での会計教育が一時的にストップして、学会活動も困難となる中、学会はオンラインで継続して開催され、情報技術(IT)の発達を利用した新たな会計教育の方法が提言されてきました。

このような学会の発展過程では、学会運営に直接携わってこられた役員の方々はもちろんですが、大学、短期大学、高等学校で会計教育に携われている会員の皆様方の会計教育研究の成果が極めて重要な役割を果たしてきたものと思います。

昨今の企業では、ITの発達とともに人工知能(AI)が組み込まれ、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進による新たなビジネスモデルが求められています。国の政策に呼応して、データサイエンス学部の新設やデータサイエンス教育が各大学で行われています。私たちが会計教育する対象となる人々(学生・企業人の方々)は、会計教育に多様なニーズを有するように変化しています。

これは、現在および将来の会計教育者の方々に、会計教育を受ける人々の多様なニーズに対応する必要性を生じさせます。アフターコロナ、ニューノーマルの時代では、これまでと変わらぬ会計教育の重要性に加えて、時代の変化や技術の発展に対応した新たな会計教育の必要性と重要性への理解と対応が求められます。そのために必要なものが、会員の皆様の会計教育研究であると考えます。

日本会計教育学会は、多様化する社会の中での会計教育について、みんなでアイデアを出し合い、議論をし、それを実行に移して、評価して、新たな会計教育を提案するという、会計教育研究のPDCAサイクルを通して、よりよい会計教育について、ともに悩み、ともに考える場が提供されていますし、提供する場として発展する必要があります。

これから会長の重責を果たす立場として、会計教育研究の場となる当学会の発展に尽力してまいります。会員の皆さま方には、これまでと同様、学会活動にご協力いただきますよう、お願い申し上げます。

また、最後となりますが、是非皆さまの身近な方で、未だ当学会に入会されていない方々がいらっしゃいましたら、学会の魅力をご説明いただき、ともに考える同士となっていただけるようお誘いいただけますと幸いです。今後とも、よろしくお願い申し上げます。